中国

中国へ展開している日系企業や、出張で日本から中国に行かれている方などでは、日本の国内にメールサーバがあり、中国からインターネットを介して接続しているという事例がよくあります。しかし、「中国から日本の国内のメールサーバにアクセスしようとすると遅くて困る」というお話しが出ることがありますので、ここで少しその問題の背景と対策についてご説明します。

まず、中国側拠点から日本国内のメールサーバへのアクセスが遅い、またはアクセスが出来ないことがある原因には複数の理由があります。解決できるケースと、実際に現場に見に行かないとわからないケースもあり、ここでは一般的な話しをご説明します。

中国からアクセスすると日本のメールサーバへのアクセスが遅い理由

まず最も代表的なケースとしては、日中間の国際インターネット回線自体が混雑しているため、という原因が挙げられます。そもそも中国からの対外接続は公表値で1000Gbps前後しか無いとされており、中国のインターネット人口や、中国国外へのアクセス量などを考慮すると対外接続自体の太さが足りている状況にはありません。このため、時間帯によっては経路が混雑することがあり、通信に影響を及ぼしていることがあります。さらに日本向けの経路(=日本のISPと接続している帯域)が太くないため、結果として中国国内からの接続性が良くないと感じることになります。

次のケースとして、日中間のインターネットのアクセスが、日中のISP同士の接続経路を用いず、例えば中国から日本へのアクセスがアメリカ経由となることにより、大幅な通信遅延が発生している場合ですす。これは日本側ではコントロールが出来ないため、現状の一般的なインターネット接続の範囲では回避することが出来ません。アメリカやヨーロッパ、日本などにおいては一般的にTier1のISP同士はピアリング(相互接続)などをすることで双方のユーザに対する接続性を確保しますが、中国との場合にはこれがほとんど成り立っていません。

アクセスの品質をどのように解決することができるのか

1.IP-VPNまたは国際専用線(IPLC)で結ぶ

最もコストがかかりますが確実な方法は、中国の拠点から日本までIP-VPNや国際専用線(IPLC)を契約し、インターネットを介さずに中国から日本までの通信環境を用意することです。これによりインターネットの混雑や通信経路の影響は受けませんが、そのかわり北京・上海の都市部から日本の東京まででも1~2Mbpsの帯域でさえ月額で数十万円程度のコストは覚悟する必要があり、現実味はあまりありません。また中国は「公専公」(例えばInternet - 閉域網 - Internet)という接続形態を公式には認めていませんので、ネットワーク構成によっては中国法に抵触することがあり得ますから注意が必要です。

2.中国側拠点のISPと日本側のサーバの再選定を行う

中国側拠点でご利用のISPと日本側サーバの上位ISPとの接続性が悪い場合、前述のとおり中国から日本へのメールサーバへのアクセスが遅くなることがあります。そのため、日本側のサーバの接続先ISPを調べた上で、中国側拠点のISPの再選定を行うことにより、接続性の改善を検討する方法があります。このISPとこのISPであれば接続性が悪く無さそうであるという情報を提供することになりますが、インターネットですから将来にわたるまでの保証は一切ありません。しかし、少なくとも接続性が極端に悪い場合にはまず小さなコストで取り組めるので多くの日系企業がまずこれを中国では試しています。

3.中国国内にメールサーバーを設置してアクセス先を分ける

最後の方法は、中国国内のデータセンタに設置したメールサーバをご利用いただき、中国国内の拠点からのアクセスの場合にはこのメールサーバを利用することで、日中間の国際インターネット部分の混雑を回避する方法です。当然ドメイン名や管理方法を分けたりする必要が出てきますが、普段のPOP/SMTP(送受信)の遅さのストレスは大きいので、こういう方法で対処される会社も多くあります。

上記の3つの方法はあくまで一つの例で、具体的なケースごとに色々な対処法がありますし、逆に予算を考慮すると対処方法の選択肢が限られてしまう、という実例もあります。まずはアジアでの運用経験が長いサーバー事業者に相談するのが良いでしょう。

 

※本記事は2011年1月にchinainternetreview.comに掲載したコラムを加筆・訂正したものです。