中国

デュアルSIM(SIM スロットが2つある)の携帯電話端末は各社から販売されていますが、筆者も先日からデュアルSIMの携帯電話を持ちました。HTC製のT328D です。デュアルSIMは中国語では「双模双待」、もしくは「双◆双待」(◆は上と下を上下に書く漢字)と表現されます。双模とは、1つの携帯電話で2つの電波の種類に対応でき ていること。双待とは、2つの電話番号が同時待受状態にできること(デュアルスタンバイ)。筆者はほかにも中国での通信のためにHUAWEI製のE5という中国電信用のWi-Fiルータ(これには中国電信のCDMA2000用の3Gカードが入っている)や中国聯通の3Gカードを入れている携帯電話は持っていますが、中国では契約しているエリアから出ると国内でも通話がローミング扱いになるのでうまく使い分けるのが得策です。私の場合、中国電信の3G契約は北京契約と上海契約を持っていて、これを併用しています。

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日本では、携帯電話でどこの地域から発信しようとも相手先が国内であれば発信地によらず通話料は同一です。中国では、自分の携帯電話を北京で契約していれば北京の契約料金が適用され、それを上海で使うと少し高めの通話料が適用されます。中国でデュアルSIMを利用している人は、多くは3Gの通信契約と2Gの通信契約を使い分けていて、3Gは通信のみ、2Gは通話のみに使っています。例えば筆者の持っているT328の場合、T328Dが中国電信の3G(CDMA2000)、T328Wでは中国聯通の3G(W-CDMA)に対応しており、もう一つのスロットはGSMのみに対応しているため、中国電信、中国聯通、中国移動のいずれの2G 契約でも利用可能です。筆者はT328Dですので、3Gに中国電信、2G用のスロットには中国聯通のカードが入っています(3G契約での通話より2G契約での通話の方が安い)。

複数の3G契約には意味があるのかという話もあるかもしれませんが、先日の北京空港でこの「3G×2契約持ち」が威力を発揮しました。北京空港から地方に移動する際、天候不良で飛行機が飛ばず、北京空港の第二ターミナルは大混雑。機材繰りのせいで欠航も相次ぎ、運よく飛んだフライトでさえ18時発の予定が離陸した のは23時、という状況でした。ただでさえ中国では3Gの基地局が貧弱で、人が集まる場所では3Gの電波が拾えないこともしばしば。空港の待合室では椅子に座れないぐらいの人がたまりだし、多くの人が時間つぶしに携帯電話やタブレットを触りだします。筆者のいた場所では、途端に中国聯通の3G は軒並みアウト。通信自体が確立できないのでどうしようもありません。

しかし中国電信の3Gは比較的通信が可能で、これを使ってPCからメールを送っていました。ただ、次第にこれも混みだしてしまい、最後には中国電信のWi-Fiを使ってしのぎました(IP アドレスがしばしば取得できなかったため、相当これも混雑していたようです)。キャリアが提供するWi-Fiには、3G契約の通話料から引き落とされていくタイプのものと、Wi-Fiカードだけを契約して使うことができるものとがあります。例えば中国電信の場合には100元で100時間、中国移動では100元で200時間使えるため、 どうしても通信をしたい場合には持っておいても損ではありません。

デュアルSIMは日本人の中国への出張者にも便利です。保証されていない使い方ですので、あくまで自己責任での利用が必要ですが、日本の携帯電話キャリアのSIMと中国のSIMをそれぞれのスロットに入れて使えば、電話帳のデータを別々に持つ必要はありません(例えば3G側のスロットにはソフトバンクのSIM、2G側のスロットには中国移動のSIM、など)。デュアルSIM端末の種類は多くはありませんが、今年6月にはSony Mobile がXperia tipo dual を売り出しており、日本でも海外用携帯電話のショップなどで入手可能です。

またHUAWEIやZTE、酷派(Coolpad)など中国のローカルメーカーは双模手机(デュアルSIM端末)を作ってきています。特に酷派が8月に発売したCoolpad 8950は、中国移動と中国聯通の3G規格(TD-SCDMA と W-CDMA)に同時に対応するという珍しい端末です。執筆段階で中国移動のWebサイトでは発売は確認できていませんが、間もなく流通するとみられており、“中国携帯好き”にとっては入手が楽しみです。

(2013年1月にjapan.internet.comに掲載したコラムに一部追記しています)